2015/03/17 18:12

風の牧場は、有明海に面した佐賀県太良町の多良岳山麓にあります。
長崎県との県境で、標高は400m。
晴れた日には、眼下に有明海が広がり、遠く対岸の熊本県まで望めるロケーションです。
空気が澄んで爽やかな風が吹くこの地の名前は、「風を配る」と書いて「風配」(かざはや)と読みます。
なんとも趣きがあって、いい地名です。



風の牧場の運営会社である有限会社風配高原ファームは、この地で1995年(平成7年)から酪農を営んでいます。
社長の樋口正光は、実家の仕事を継いで若い頃から肉牛を育てていましたが、1979年(昭和54年)に妻の静子とともに酪農を始めました。
長らく太良町の隣・鹿島市で牧場を営んでいましたが、規模拡大のため、風配の地に移転してきました。
敷地面積は1万6千坪で、現在はそのうち9千坪を牧場施設として利用しています。
旧牧場でたった5頭から始めた酪農ですが、今では常時100頭以上の牛が風配高原ファームで生活しています。

私たちは、「牛を健康に育てること」を根本に仕事をしています。
風配に移転した理由のひとつも、牛に多良岳の良質な天然水を与えたい、という気持ちがあったからです。
幸運なことに、牧場の下には多良岳山系の豊富な水脈がありました。
飲料水はもちろんのこと、すべての水をこの地下水でまかなっています。
また、専門の獣医さんたちのコンサルティングを受けながら、飼料や牧草の選定や量を細かく決めています。
さらに、水や飼料、牧草に独自の電子チャージを施してから与えています。
このような良いものをたくさん体内に取り込むことで牛の消化吸収が良くなりました。
その分、フンからの有害なガスの発生が抑えられるので、臭いもあまりせず、ハエの発生も少なくて、牛舎は気持ちのいい環境を保っています。
他にも、モーツァルトの音楽を聴かせたり、暑い時にはスプリンクラーからシャワーをかけてあげたりして、牛たちのストレスがなるだけ増えないような空間作りをしてきました。



そして、なによりも牛たちに愛情を注いでいます。
自分の身を削ってお乳を出し、自分の命を犠牲にしてお肉を提供してくれる牛たちに感謝せずにはいられません。
命あるものを預かり、さらにはその命を頂くことで、自分たちが酪農を続けられ、また生きていくことができる、ということを忘れないよう、毎日「牛さん、本当にありがとう」と声をかけ、体をさすってあげています。

このような私たちの思いや取り組みを、多くの人たち、特に子どもたちに伝え共有していきたい、牛と触れ合うなかで何か学んでくれるような場を作りたい、という願いがずっとありました。
それを実現するために始めたのが、風の牧場としてのサービスです。
教室を作り、牛舎と教室で酪農教育ファームという牧場体験授業を行えるようにしました。
それから発展して、バーベキュー場を高台に設置しました。
そこでは、食育の一環として、牧場のミルクを使った食材で食作り体験をしたり、みんなで楽しく牧場のお肉でバーベキューができたりします。
なかでも、牧場特製のソフトクリームはとても人気があります。
風の牧場と銘打って本格的に酪農教育ファームや食育事業を始めてからまだ3年ですが、3月下旬から11月までの週末と祝日のみの営業にもかかわらず、昨年は4,000名を超える方々にお越しいただきました。



今回、このように牧場の牛肉を使ったレトルトカレーを作ることができ、牧場まで足を運ぶのが難しい遠方の方ともつながることができるようになりました。
カレーという商品を通してではありますが、さらに多くの方と命や食に対する思いや姿勢を共有できるのであれば幸いです。
もちろん味にもこだわっていますので、自信をもっておすすめする商品です。

牧場のおかげで、新しい出会いを次々と重ねる毎日です。
今年もまもなくサービスを開始しますが、またどんな出会いがあるか楽しみでいっぱいです。
スタッフ一同、皆さまのお越しを心よりお待ちしております。